【配合解説】エテルナミノル

配合アドバイザー衣斐浩本人による血統解説

エテルナミノル
先月のG3愛知杯で私が配合したエテルナミノルが優勝しましたので、その配合を解説したいと思います。

エテルナミノルの父エンパイアメーカーは日本では早々に失敗種牡馬と評価されてアメリカに戻りましたが、配合を間違えなければ走る馬が出る種牡馬だと私は確信していました。

イン リアリティのクロス

エンパイアメーカーの配合のキーポイントは、イン リアリティ In Realityのクロスです。

インリアリティは同い年にダマスカス Damascus、ドクターフェイガー Dr. Fagerといった歴史的名馬がいた為、大レース勝鞍には恵まれませんでした。
同馬はその競走成績以上に血統に大きな価値があり、私の提唱する「ハイクオリティアメリカン血統」の代表例です。

ハイクオリティアメリカ血統(HQアメリカ血統)とは
ベンブラッシュ Ben Brush系と、ドミノ Domino系の事。
総産駒数は少ないのに、現代に至ってもいまだ一流馬の血統表に姿を表わす、不思議な活力を見せ、アメリカ血統の中でも「最も影響力の強い血」と考えています。
この系統が姿を見せた場合は、ただそれだけで「血の活力が増す」と私は考えており、私は「ハイクオリティ・アメリカ血統」(以下、HQアメリカ血統)と定義しています。



イン リアリティはウォー レリック War Relic(マンノウォー直系)の3×3クロスを持っているように、アメリカ異系血統の活力があり、爆発的なスピードを備えていると私は考えています。(後継種牡馬のリローンチ、ノウン ファクトが一大勢力を築いている事からも活力があるのは明白です。)

また、2017年のワールドサラブレッドランキング1位のアロゲートも「イン リアリティの5×5クロス」を持っており、爆発的なスピードが特徴でした。

日本国内でのオーソドックスな配合で一流馬が出なかったエンパイアメーカーですが、イン リアリティをより強調すれば結果も違ってくると考えて提案し、誕生したのがエテルナミノルです。

エテルナミノルは、母ダイワジェラートがフジキセキ×リアルシャダイという配合で、既にイン リアリティの4×4クロスを持っていました。
ここにエンパイアメーカーを配合すれば、「イン リアリティの5・4×5・5クロス」という極めて特徴的な内容になります。
イン リアリティの血統の中には前述したようにマンノ ウォー系が2本ずつ含まれており、更にエンパイアメーカーの父アンブライドルド Unbridled、母の父エル グラン セニョール El Gran Senorにもマンノ ウォーは複数備わっており、これが一気に連動し、エテルナミノルの9代血統表には膨大な数のマンノ ウォーが表れます(計16本)。

エテルナミノルのイン リアリティクロスの中に含まれるクロスは
・ラフン タンブル Rough’n Tumbleのクロスの継続(6・7・6×7・7 計5本)
・ウォー レリックのクロスの継続(8・8・7・7×8・8・8・8 計8本)
・ディスカバリー Discoveryのクロスの継続(8・8・8・8・7・8×8・8 計8本)
・ブル ドッグ Bull Dogのクロスの継続(8・8・8・8×8・8・8 計7本)
と、複数が多重にクロスしています。

クロスの継続というのは、
「Aという馬のクロスの本数 < (A内部にある)A’という馬のクロスの本数」という状態です。
Aというクロスの「中身の有る・無し」を見ますから、クロス自体の強弱も分かりますし、同時に配合全体の統一感も見えてくる訳です。

ル ファビリューのクロス

エテルナミノルはイン リアリティクロスに加えて、更に(別の異系である)ル ファビュルーのクロスも発生させてあります。
ル ファビュルーはノアイユ賞、リュパン賞、フランスダービーと3歳主要戦を連勝し、2000m前後の中距離で無類の強さを見せ、フランスでリーディングブルードメアサイアーになり、母の父としては世界中で抜群の実績を残しました。

母の父ル ファビュルーの成功例としては、米国で有名なアンブライドルド、日本ではフジキセキがいますが、エテルナミノルはまさにこの組み合わせでルファビュルーをクロスさせてあります。

何よりエテルナミノルの配合の1番のキーポイントは、ノーザン ダンサーのキーホース3/4頭、ネイティヴ ダンサーのキーホース4/4頭、ミル リーフのキーホース4/4頭を抑えたという点です。
私が提唱する「チャンピオン配合」を高い水準で満たしていますから、まず配合の相性が優れています。

この質の高さの上に、イン リアリティのクロス(&クロスの継続)でアメリカの異系血統の爆発的なスピードを加え、さらにル ファビュリューのクロスにより「芝で走る」異系のスピードを追加したという形です。

以上のような、しっかりした狙いのもとにエンパイアメーカー産駒ながらエテルナミノルは芝で活躍できる馬の誕生を狙ったのですが、実際にまさに狙い通りの成績を挙げてくれました。

文責:衣斐 浩(いび・ひろし)

略歴
1958年生。岐阜県出身。高校時代から笠松競馬場にて朝の攻め馬に騎乗し調教を付けてから通学する毎日を送る。
16歳時に血統に詳しい義足の獣医師松本思郎師と出会い血統配合に目覚め、走る馬の馬体研究や血統研究をライフワークとしている。
2003年、夢であった育成牧場グランデファームを設立し北海道浦河に移住。数多くのサラブレッドの育成を手掛け、グランデオーナーズ名義にてJRA馬主資格を所得。
近隣の生産牧場や馬主様からの要望に応えて配合コンサルティングも行っている。