[配合解説]レーヌミノル

配合アドバイザー衣斐浩本人による血統解説

レーヌミノル(返し馬)
レーヌミノルの兄姉を見ると、スペシャルウィークとダイワメジャーが毎年配合され、ヘイロー Haloの3×4クロスを意識している事はお分かりいただけると思います。

母ダイワエンジェルがスペシャルウィークと最初に配合されたのは2006年です。
この年はシーザリオやインティライミなど、アルマームードクロスを持つスペシャルウィーク産駒が春のクラシックで活躍した年でしたが、その直前に配合を提案する形になりました。
(勿論ながらレーヌミノルの誕生は、桜花賞馬が生まれるまで母ダイワエンジェルとサンデー系種牡馬との配合を信じた生産者さんの決断の賜物でもあります。)

ヘイローの血統について

レーヌミノルの血統内でクロスしているヘイロー Haloは、競走馬として3-6歳時に31戦9勝の戦績を残し、種牡馬となってサニーズヘイロー Sunny’s Haloがケンタッキーダービー馬となった1983年と、サンデーサイレンスが米二冠馬になった1989年に北米リーディングサイアーになりましたが、サンデーサイレンスが歴史的な大種牡馬になるまでヘイローは「サニーズヘイローとデヴィルズバッグの父」という程度の評価でした。

ヘイローの血統内でアルマームードがクロスすることの意味

ヘイローの血統は、アルマームード Almahmoudのクロスを持つ事によって、著しく活力を得る配合へと変化します。

アルマームードの母アルビトレーター Arbitratorは、フェアプレイ Fair Play、ベンブラッシュ Ben Brush、ピーターパン Peter Panと、3種のハイクオリティアメリカン血統を持つ、「これぞアメリカの母」のような配合の馬で、非常に活力を含んでいます。
この点ではネイティヴダンサーにおけるゲイシャの存在に近い輝きを持った存在です。

よって私は早くからヘイローの母アルマームードのクロスに注目して、配合を提案してきました。

アルマームードの素晴らしさを前提にヘイローは、「ザテトラークThe Tetraech-ムムタズマハル Mumtaz Mahalの快速父娘」、「(HQアメリカン血統である)ブルーラークスパー Blue Larkspurの息子と娘のクロス」まで加わっています。
このような条件を踏まえて、ヘイローは私が「HQアメリカン血統」と呼ぶ血の中でも別格で、弾むような軽さを備えた血です。

サンデーサイレンス産駒が初年度からジェニュイン、ダンスパートナー、マーベラスサンデーと、この配合パターンで成功し、以降毎年のように活躍しましたので、もしかしたら日本の競馬ファンが世界で最初に気付いていたのかもしれません。
今や日本の競馬は、サトノダイヤモンド、マカヒキ、シュヴァルグラン、シンハライト、ヴィルシーナ、ワンアンドオンリー、ファンディーナ、シャケトラなど、「ヘイロークロスとともに一流馬が生まれる」状況になっています。

ヘイロークロスを持つ馬はその特徴として、軽さとしなやかさ、そして良い意味での繋ぎの緩さがあり、実戦でハロン11秒を楽に出せるタイプが多く、日本の競馬に抜群に合うと思っています。
私は自分でもヘイロークロスを持つ馬を意識的に買い集めており、日頃の調教を通して、仮説は確信へと高まりました。

ヘイローを使わないアルマームードクロス

ヘイロー系種牡馬およびヘイロークロスの隆盛は日本と南米の一部に起きていますが、ヘイローの母アルマームードに視点を移すと、これは世界的に「走る配合」の要になっている事もすぐに気付くことになります。

・欧州ではサドラーズウェルズ
・オセアニアではデインヒル
・北米ではジャイアンツコーズウェイ、ストリートクライ

といった血統が大きく栄えていますが、これらの血統を見れば、全てにAlmahmoudが入っています。

海外で今走っている一流馬の血統を見ても、アルマームードの血を組み合わせ、入れ替えた「アルマームードクロスの配合」が、毎年、品を変えて繰り返されているように見えるほどです。

私の血統の見方で言えば、今世界で最も繁栄している血はアルマームードであるとさえ思っています。

まとめ

ヘイロークロスは、「ヘイロー自身が優れた競走馬であったからクロスで走る」のでなく、「優れた種牡馬であったからクロスで走る」のでもないと考えています。
本当に意味があるのは、「ヘイローとアルマームードがクロスを継続している状態にある事」だと考えています。

この応用で、ナタルマ~アルマームードを継続させる配合が容易なデインヒルとマキャベリアンが世界的に成功している事もこの論を補強するものだと思っています。

また、あまりにも繁栄してネガティヴな推測を立てられる事もあるサンデーサイレンスですが、この馬は二流血統でもなんでもなく、配合に必然のセオリーがあります。
サンデーサイレンスは更にアルマームードという世界で繁栄する強力なカードまで持っているので、これからも父系・母系・クロスなど様々な形で未来のサラブレッドに影響を与えるでしょう。

そう簡単にサンデーサイレンスの血が衰退したり無くなったりはしないと思っています。

文責:衣斐 浩(いび・ひろし)

略歴
1958年生。岐阜県出身。高校時代から笠松競馬場にて朝の攻め馬に騎乗し調教を付けてから通学する毎日を送る。
16歳時に血統に詳しい義足の獣医師松本思郎師と出会い血統配合に目覚め、走る馬の馬体研究や血統研究をライフワークとしている。
2003年、夢であった育成牧場グランデファームを設立し北海道浦河に移住。数多くのサラブレッドの育成を手掛け、グランデオーナーズ名義にてJRA馬主資格を所得。
近隣の生産牧場や馬主様からの要望に応えて配合コンサルティングも行っている。